読書グラフィ 今日読んだ本
★西村行功 / 『戦略思考のフレームワーク―未来を洞察する「メタ思考」入門』
●大前研一
「日本企業で働く人たちの最大の課題は、四十代で活躍する人が少ないことだ。
終身雇用が前提の日本では、四十代ではまだ駆け出しの扱いだろう。
自分が四十代になったときに本当に活躍できる会社、
活躍できる業界は何かを考えて就職活動をしなさい。
そのような会社や業界は、今持てはやされている会社、業界とは違うだろう。
いや、むしろ今ピークの業界は、
そのときにはピークをとうに過ぎているかもしれない。
●メタ思考力
「未来を洞察する」と言っても、
「未来を予測するスキルを養う」わけではありません。
何よりも重要なのは、考え方の柔軟性であり、
そうした柔軟性を自分で認識する力、つまり、
自分が今どういう考え方をしているのかを自分なりに認識する力です。
この認識力のことっを、私は「メタ思考力」と呼んでいます。
メタとは、「超えて」という意味です。
●戦略思考力
自分なりの思考ブロックをしっかり持ち、
状況に応じて使い分けることが大切です。
こうした戦略思考力は、四つの層のブロックから成り立っていると考える。
(1)最下層
思考のOS(オペレーション・システム)。
4つの基盤的思考法があります。
(i)因果関係を考える。
(ii)全体から個を考える。
(iii)個から全体を考える。
(iv)定量的に考える。
(2)二層目((1)の上) ロジカル・シンキング
論理的に考えるという思考法。
問題を分解し、分析し、要素を知り、また構造を知るのに役立ちます。
(3)三層目 システム・シンキング
要素間の関係に着目する。
点と時間によるモノゴトの変化を考慮する。
(4)四層目(最上位) シナリオ・シンキング
「時間」の概念だけでなく、未来の不確実性についても考慮する思考法。
未来の状況について、不確実性を考慮した複数の未来シナリオを描く。
「バラ色シナリオ」もあれば、「泥沼シナリオ」もある。
●基盤的思考法
(i)因果関係を考える。
・原因と結果の間に何らかの関係性がないといけない。
・原因が先で結果が後という時間的順序が必要。
・別の原因が存在しないことを確認する必要がある。
(ii)全体から個を考える。演繹的推論。
私たちが知っている「一般的な規則」に基づいて、
個別の事象の意味を考えることを演繹的な推論と言います。
「規則や定義に則って議論すれば、(当然)こうなる」
という必然性に基づいた論法で、論理的にはわかりやすいものです。
しかし一方で、「当然こうなる」を繰り返すだけでは、
そこには新たな発見はありません。
(iii)個から全体を考える。帰納的推論。
事例からスタートし、その結果、規則を見つけ出す推論の方法です。
経験に基づく確率論的推論であるがために、
それを反証する事実が出てきた場合には、その推論が否定されてしまう
という欠点を持っています。
例)ブラックスワン(黒い白鳥)
オーストラリアで黒い白鳥が発見されるまで、
白鳥は白いものだというのが一般的通念でした。
(iv)定量的に考える。定量思考。
数値を「見える化」、図示化し可視化すると、よりわかりやすくなります。
・面グラフ・・・横幅にも高さにも意味があるグラフ。
・因子分析、クラスター分析
●ロジカル・シンキング
論理的にモノゴトを考える。
特徴としては、モノゴトを全体から要素に分解し、
それぞれの要素へ対処することで、全体に対処していく点にあります。
キーワードは4つ
(i)ロジック・ツリー
要素間の関係が、足し算や割り算、掛け算として表されています。
(ii)モレなく、ダブりなく(MECE)
・MECE=相互排他的でかつ全体包括的。ダブりやモレがないこと。
ミーシー、ミッシーと読む。
ツリーに要素分解して考える際に、ダブリやモレがないようにします。
(iii)仮説思考
仮説なき調査・分析というのは、
海に潜って当てずっぽうに真珠を見つけるようなものです。
経験やちょっとした兆しから仮説をつくるクセをつけることが大切です。
(iv)肌感覚
ツリーを「歯磨き粉一本の値段」など、
日常生活の知識で答えられるまで要素分解することを
「肌感覚への落とし込み」と言い、仮説の構築がスムーズにできるようになる。
「割り算」を積極的に使い、「一日当り」とか「一人当り」などの
細かい単位にブレイクダウンしていくことがコツです。
●ボールパーク・フィギュア(野球場の数値)
大腿の数値のこと。
●フェルミ推定
一見推定し難い数値を、いくつかの仮定を置きながら推論していくこと。
物理学者 エンリコ・フェルミの名前に由来する。
●ツリー以外の要素分解
・マトリクス型
互いに相関していないような二つの要素を二軸で整理する。
・活動の全体を考える。
活動の「始めから終わりまで」をヌケモレなく考える。
「価値の連鎖」を考えるバリューチェーンという考え方など。
・関係者の視点で考える。
業界に影響を与える可能性のある5つの関係者の視点で考える
「ファイブ・フォース」という考え方など。
(既存競合、新規参入者、顧客、代替品提供者、仕入先)
#読書 #ビジネス
西村行功 / 『戦略思考のフレームワーク―未来を洞察する「メタ思考」入門』